現実的な想像力には経験が必要

小5では、体積の授業を行います。

図形が書いてある問題だとどんな形なのか、想像しやすいのですが、
例えば、長方形ABCDをABを軸にして回転させる図形の体積を求めなさい。
などの文章だけで書かれた図形問題だと、図形の全体像が想像しにくくなります。

想像できない時には、実際、長方形に紙を切り、頂点にそれぞれABCDと記号を振り、
ABのところに長方形より長い割りばしをつけて、その割りばしを軸にして長方形を回転させることを行います。

こういった図形の想像が苦手な子は、幼少期に、
自分で家にある廃材(牛乳パックやサランラップの芯、空のペットボトルや紙など)
を使って工作を楽しむ経験や、ただの紙を切ったり折ったり貼ったり回したりして遊ぶ経験を
あまりしてこなかった子が多いような気がします。
工作や遊びを小さいころに自分で色々探求している子は、
無意識に、例えば棒についた紙をくるくる回して遊んだような経験から、
たとえ問題にどのような図か文字でしか描写されていなくても、具体的に想像ができるのです。

中学で良く出る図形を切断し、断面の形や面積を求める問題は、
料理を日常的にして、色んな形の野菜を切っている子が、
日ごろから野菜の断面を色々見ているから、想像がしやすいという話を聞いたことがあります。
また、図形の切断の問題が苦手な子が、実際に問題通りに豆腐を切ってみることで、
想像力が鍛えられた、という話もあります。

塾長が、国語で、ひばりについて書かれた文章題が出た時、
ひばりを実際に見たことがある子と無い子で、
問題の読解の精度が格段に違ったことがあった、と言っていました。

これも、経験による想像力の差です。
ひばりを実際に見たことがある子は、ひばりがどのように飛び、どのように鳴くか、
その特徴を鮮明に思い浮かべられますが、
ひばりを見たことが無い子は、
どうしてもその姿が文章だけでは把握し切れないのです。

寺子屋アテネが科学工作や科学実験を行う、科学の講習会を行っているのも、
タケノコの時期に竹藪でタケノコ堀りをする自然体験を行っているのも、
この、経験による想像力がなかなか侮れないものだと知っているからです。

知識だけが上滑りするのではなく、
少しでも、知識と経験が紐づいて身のある知恵となるように、
現実的に、具体的に想像力を働かさせられる子が育つように、
授業やイベントを考え、実施していきたいと思っています。

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寺子屋アテネは、三重県桑名市で75年以上続く老舗の塾(個人塾)です。
桑名には珍しく、小学生の学年別に、授業形式で「数学(算数)」「国語(読書)」を行っています。
読書は小学2年生、小学3年生、小学4年生、小学5年生、小学6年生
数学は小学4年生、小学5年生、小学6年生が対象です。


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2022年9月8日