卒業生の声

木村優奈さん(2002年1月生まれ)

昔から、何事も納得しないと気が済まない子どもでした。

わからない言葉に出会えば辞書を引く。
実験キットをもらえば、説明書に書かれていることを全部試す。
数学の問題を解けば、別の解き方がないかを考える。

そんな性格は、「『しやん』とか『せーへん』とか、否定表現のバリエーションが多いのはなぜだろう?」と自身の方言に疑問を持ち、大学で三重県方言の研究をしている今も、本質的には変わっていないのでしょう。

そう自分自身を省みるとき、アテネで学んだ日々のことが思い出されます。

中学に入学して間もなく、私は数学に躓きました。

とにかくテストが解けない。授業は理解できているつもりなのに、問題数の多さに頭が真っ白になり、平均点を下回るばかりでした。

何も解決できないまま1年が過ぎ、中学2年の秋、先代の茂雄先生の教え子である父の勧めでアテネに入塾しました。

初回授業は、私の学校の教科書を使って、説明と問題演習を繰り返す形で行われました。
直樹先生は、私が問題を解く様子を急かさずに見守ってくださいました。授業後に「よく考える子や、きっと伸びるぞ」と励ましてくださったことも印象に残っています。

そのような授業を数回経験し、迎えた入塾後初めての定期テストで、私は自分史上最高の点を取ることができました。
そして一度のみならず、その後のテストの成績も安定するようになりました。

正直なところ、何が結果に結びついたのかは今でもわかりません。
速く解く練習をしたわけでも、特別なテクニックを教わったわけでもありません。

ただ一つ断言できるのは、アテネの授業を通して「自分はこれでいいんだ」と思えるようになった、ということです。

受験には競争がつきものです。 私のように要領の悪い子、つい立ち止まって考えてしまう子は苦労すると思います。

でも、そういう子だからこそ歩める道があります。
考える時間を削ってスピードをつけるのではなく、考え抜いて理解を積み上げていけば良いのです。

私がそう育ててもらったように、アテネが、じっくり考える子の可能性を育てる寺子屋であり続けますように。

私自身も、アテネの卒業生の一人として、じっくり考える人であり続けようと思います。

プロフィール

中2~高2

アテネで学習(高3の時期は塾長が癌治療を行っていたため閉講)

学歴

2020年3月

暁中学校・高等学校(6年制) 卒業

2020年4月

東京大学入学

2024年

現在(卒業生の声執筆時)、東京大学文学部 在学中