知っている言葉の数だけ、感情が分かる

以前、小3の読書に臨時で入りました。

ことばについて考えるというお題で、4つの質問に答えてもらいました。

①あなたの一番すきな食べ物が、なぜすきかを、おいしいという言葉を使わず書いて下さい。
②あなたの一番きらいな食べ物が、なぜきらいかを、まずいという言葉を使わず書いてください。
③一番すきな教科のどこがすきかを、すきという言葉を使わず、5つ書いてください。
④一番きらいな教科のどこがきらいかを、きらいという言葉を使わず、5つ書いてください。

言葉と感情について考えるというお題で、3つの質問に答えてもらいました。
①あなたの一番すきな人の、すきな理由を、5つ書いてください。
②あなたの一番きらいな人の、嫌いな理由を、5つ書いてください。
③今日あったことで、楽しかったことを6つ書いてください。

はじめは、すきな食べ物や嫌いな食べ物を答えから推測したりして当てっこするゲームをしました。
なるべく楽しみながら、「おいしい」という言葉以外で「おいしさを伝える」ということを行いました。

後半は、
感情について書くこと。
好きな子については全然出てこないのに、
嫌いな子についてはすらすらでてくる。
良かったこと、楽しかったことは悩むのに、
嫌だったことはすらすらでてくる。

それは、「好き」や「楽しかった」とポジティブなことを表現する言葉や言い回しをあまり知らない・日常的に使わないのに対し、
「嫌」なネガティブを表現する方法はたくさん知っている、
または日常的に使っているのが理由のひとつだと思います。

人は、言葉を知らないと感情を理解できない、という話があります。
例えば「むかつく」という言葉が口癖の子が居ます。
「給食に嫌いな食べ物が出てむかついた。」
この言葉だけを聞くと”怒り”を表現しているのかと思いますが、
実際は多分、
「給食に嫌いな食べ物が出て、まずくて嫌だった。」
という悲しみを表現したいのだと思います。

ただ、嫌なことが起こった時の表現方法を「むかつく」
しか知らないので、この子は常に怒っているようにとらえられてしまいます。
もしかしたら、口の悪い子、と思われているかもしれません。
でも、その子は、口が悪いのではなく、
「まずい」「悲しい」「しょんぼりした」などの言葉が、
自分の状態でどんな時の気持ちを表現する時に使うのか、
分かっていないので、何に対しても、「むかつく」と表現しています。

ポジティブな言葉も一緒です。
「いちごが好き!」というのも、
いちごを食べるとおいしいから好き、
いちごを食べると幸せな気持ちになるから好き、
いちごの甘酸っぱい味が好き、
いちごの嚙んだ時にじゅわっとなる漢字が好き、
いちごはかわいいから好き、など
好きにもいろいろあると思います。

表現方法を色々知っていると、
自分のぼんやりした感情をはっきりさせることができます。
また、人に説明する時にも言葉に彩りが出て、
他人との話が弾みやすいです。

寺子屋アテネでは、
小2、小3、小4、小5、小6まで、
読書の授業を行っています。

小2、小3、小4では、
特に、毎週多くの本の読み聞かせと音読を通して
たくさんの表現の方法を学びます。
そして、物語を通して、
自然と表現の方法を知っていく。
インプットばかりではなく、アウトプットも大切にしています。
読書感想文も書き、自分の気持ちや気づき、
興味を表現していくことを書く行為の中で体得していきます。

知っている言葉は偏りがちなので、
ポジティブな感情表現も、
ネガティブな感情表現も、
どちらの表現の幅も広い子に育ってほしいと思っています。

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寺子屋アテネは三重県の桑名市で75年以上続く老舗の塾です。
小学生を対象に、学年別の授業方式で行っています。
カリキュラムは学校と異なる独自カリキュラムで、
通っている生徒さんからは
「学校では学べないことが学べて楽しい!」とのお言葉をいただいています。


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2022年10月6日